国連開発計画 (UNDP)  
スーダン

青年ボランティア・
ダルフール
復興プロジェクト

第1フェーズ


国連開発計画 (UNDP) スーダン事務所では、2012年以来、ダルフールの若者を開発の中心に置いた、画期的なプロジェクトを牽引してきました。

青年ボランティア・ダルフール復興プロジェクトは、ダルフールの大学卒業者を対象に、ビジネスと環境に関するトレーニングを行い、その後、訓練修了者をダルフール復興のためのボランティアとして、地域コミュニティへ派遣します。

2012-2014年までの第1フェーズでは、ダルフールの大学と提携し、青年ボランティア組織を設立しました。これはスーダン政府の25か年開発計画目標の一つである「民間セクター開発のために、ボランティア機構を設立する」という目標に沿ったもので、その実現にも貢献しています。

ダルフール総人口のうち、15-24歳までの青少年層は19.7%を占め、若年層の失業率は、40%を超えると推定されています。このダルフールの若者たちは、10年以上続くダルフール内の紛争により、教育や開発の機会を奪われてきました。

若者たちは、コミュニティの発展や平和構築の大きな担い手となる可能性を持っていますが、同時に、貧困生活を強いられている現状においては、暴力や犯罪に手を染め、コミュニティをさらに不安定にするという危険性も持ち合わせています。

都市近郊または農村に住む、貧困下にある若者、特に読み書きのできない若者にとっては、農業や小規模ビジネスの起業が、安定した所得創出方法と考えられていますが、ダルフールでは、職業技術、金融、市場へのアクセスが非常に限られているのです。 

UNDPダルフール
生計支援&復興プログラム

Photo: UNDP Sudan

青年ボランティア・ダルフール復興プロジェクトは、UNDPダルフール生計支援&復興プログラムの最も重要なプロジェクトとして発足しました。 

ダルフール生計支援&復興プログラムは、緊急人道支援と、中・長期的開発の足掛かりとなる復興のための基礎構築支援とのギャップを埋めながら、国内避難民(IDPs)、帰還民、紛争被災コミュニティの強靭性と自立性を養う支援をしています。




  プロジェクトアプローチ1
大学卒業者向け訓練

Photo: Albert González Farran/UNAMID

青年ボランティア・ダルフール復興プロジェクトは、ダルフールの大学と協力し、ダルフールの大学卒業者を対象に、3週間にわたり、ビジネス及び環境に関するトレーニングを行います。

トレーニングでは、マイクロファイナンス(小規模金融)、起業理論、環境配慮型ビジネス、環境資源活用技術等に加え、ボランティアリズム、ジェンダー学、紛争解決予防など、ソーシャルワーカー として必要な科目も学びます。

プロジェクトアプローチ2
コミュニティ活動 

Photo: Albert González Farran/UNAMID

訓練修了後は、ビジネスボランティアまたは環境ボランティアとして、各自の出身コミュニティに派遣され、コミュニティ活動に従事します。

派遣地において9か月間、訓練で学んだビジネススキルや環境学の知識をコミュニティの人々に指導するとともに、コミュニティグループによる預金や貸付などの金融システムの設立や、小規模な起業に必要な補助金申請のためのビジネスプラン作成を支援します。 

第1フェーズ 
プロジェクト成果

Photo: Albert González Farran/UNAMID

長期化の一途をたどるダルフール紛争により、特に地方の紛争被災コミュニティには、多くの国際援助機関がアクセスできず、十分な支援が行き届いていません。しかし、同プロジェクトでは、地元の若者の能力を活かすことによって、通常支援が届かない僻地を含め、かつてない規模でダルフールの紛争被災コミュニティへの生計向上 支援を行うことができました。

第1フェーズでは、205人の大学卒業者に訓練を行い、その内139人
(男性78人、女性61人)が青年ボランティアとして選ばれ、ダルフール全5州の中の、47コミュニティに派遣されました。

 「国際援助なしに自立できるよう、ダルフールに平和が訪れ、そして発展することが願いです。 青年ボランティア・復興プロジェクトは、ダルフールの自立実現のために重要なプロジェクトであり、私たちボランティアの尽力で、私たち自身が生まれ育ったコミュニティの生計を向上させたいと思っています。 
将来的には、さらにこの活動が広がり、ダルフール全体が発展し、安定することを願っています。」

ユスラ=エルサディグ=ザキディーン 東ダルフール州 環境ボランティア Photo: Albert González Farran/UNAMID

第1フェーズでは、1万4839人(男性 8095人、女性 6 744人)が青年ボランティアからトレーニングを受けました。受講したコミュニティの人々は、ビジネスや環境資源管理の能力を身につけ、それぞれの生計向上および、農業生産向上に役立てています。

さらに、青年ボランティアから訓練を受けたコミュニティ受益者の中には、ビジネスプランを作成し、プロジェクトの助成金制度に応募した人もいます。

選考の結果、158のビジネスプランに助成金が授与され、受賞者は、農業、工芸品、養鶏、鍛冶業等、それぞれ新たなビジネスの立ち上げに成功し、プロジェクトは約500人分の雇用機会を創出しました。

「青年ボランティアからトレーニングを受ける前は、避難民キャンプに暮らす私たちには決まった収入がなく、限られた食料配給支援に頼って生活していました。 

でも今は、トレーニングで得た知識と助成金を使って、ビジネスを立ち上げ、自分たちでお金を稼ぐことができるようになりました。ビジネスは順調で、私たちは、さらにこのビジネスを拡大させる計画です。」

オアーシア=ハルーン、サフィア=アドマ、 マリアム=イブラヒム  (ジュース及び工芸品販売ビジネス助成金受賞者)  
南ダルフール州オタシュ国内避難民キャンプ Photo: UNDP Sudan

2014年6月、青年ボランティア139人は、9か月の任期を無事に修了しました。表彰式とキャリアフェアがプロジェクトによって開催され、政府関係者、国連及びNGO関係者、さらにスーダン国内の企業関係者が参加しました。

任期終了後、青年ボランティア49人が、政府機関及びNGOsに正式に雇用されています。

プロジェクト
パートナーシップ 

Photo: UNDP Sudan

青年ボランティア・ダルフール復興プロジェクトおいて、UNDPは、 ダルフールのエルファシャ大学、ニアラ大学、ジュネイナ大学、ゼリンジ大学とパートナーシップを組み、青年ボランティア・ダルフール復興プロジェクト(第1及び第2フェーズ)を実施しています。

さらに、同プロジェクトは、以下の国内及び国際機関との協力関係を構築し、より効率的なプロジェクト運営を実現してきました。

国連ボランティア計画(UNV Programme)、国連・アフリカ連合ダルフール派遣団(UNAMID)、国連環境計画(UNEP)、国連世界食料計画(WFP)、スーダンのNGOs、政府機関、民間企業等。

さらなる発展へ
プロジェクト第2フェーズ 

Photo: Albert González Farran/UNAMID

青年ボランティア・ダルフール復興プロジェクトは、2014年6月に第1フェーズが終了し、2015年1月より第2フェーズを開始しました。

新たに150人のダルフール大学卒業生が訓練を終え、ダルフール5州の45コミュニティに派遣される予定です。

本プロジェクトは、韓国政府、国連ボランティア計画、スーダン政府から支援を受けています。

また、UNDPのプロジェクトチームには、日本人の国連ボランティア(UNV)スタッフが勤務しています。同UNVスタッフは、UNVとJICAとの提携による国連ボランティア特別枠によって派遣されており、派遣にかかる費用は、JICAによって負担されています。

青年ボランティア・ダルフール復興プロジェクトに関する、
その他の記事(英語)はこちら:

"Youth volunteers train for a better future for Darfur" UNDP Global website
"Harnessing Youth Talents to Rebuild Darfur" UNDP Sudan website
"International Volunteers Day 2013" UNV Sudan Facebook page
"New Beginnings: Building Livelihoods in Otash IDP Camp in Darfur"
UNDP Sudan website
"Graduation Ceremony of Darfur Youth Volunteers-Press-release"
UNDP Sudan website


プロジェクトに関するお問い合わせは
こちら:

John Anodam, Programme Manager 
UNDP Darfur Livelihoods and Recovery Programme, UNDP Sudan john.anodam@undp.org (英語)

UNDPスーダン事務所 ダルフール生計支援&復興プログラム
プロジェクトアナリスト 天野裕美  
 hiromi.amano@undp.org (日本語)


編集:
UNDPスーダン事務所プロジェクトアナリスト 天野裕美